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マンガ・アニメ
概要
日本では毎年1万点ほどの新刊マンガが発売され、単行本・雑誌を合わせたマンガ市場の規模は近年低下傾向にあるものの3766億円(2012年)に達する1。また、毎年ほぼ200タイトルのテレビアニメが制作されており、アニメ制作会社の収入を基にした狭義のアニメ市場規模は1725億円(2012年)、キャラクターグッズ販売等を含めた広義の市場規模は1兆3721億円と非常に大きな産業となっている(図1)。また、日本で制作されたマンガ・アニメはいわゆる「ジャパニメーション」「クール・ジャパン」として海外でも高い評価を得ており、「Manga」「Anime」という言葉は日本のマンガ・アニメを指す海外でも通じる言葉となっている。
この両産業の立ち上げと連携に大きな貢献をしたのが手塚治虫(以下「手塚」と呼ぶ)である。したがって、本稿では手塚のマンガ、アニメ双方における活動の推移を中心に記述し後世への影響を考えることとする。
手塚はまず、戦後の早い段階で、当時の漫画になかった新たな表現手法を持ち込み、人気漫画家としての地位を得るに至る。しかし、手塚の際立つ点は、その手法が後の漫画家に用いられることで、事実上日本発「マンガ」の原型となり、日本独自のマンガ産業の礎を築いたことにある。そして、手塚が設立した虫プロダクションで制作したアニメ『鉄腕アトム』はアニメ産業の誕生に大きな影響を与えた。本作は、現在につながる毎週30分連続放映のアニメの先駆けとなった作品として知られている。原作は1952年から連載されていた手塚の漫画『鉄腕アトム』であり、1963年元日から放映が始まった。本アニメは最高40%と非常に高い視聴率を記録し、その後何度も再放送やリメイクされる人気コンテンツとなる。しかし、それ以上に重要なのは本作品において、その後のアニメ制作を支える様々なビジネス上の革新的手法が生み出されていた点である。本作品の登場を契機として、その後多数のテレビアニメが制作・放映されることとなり、事実上日本のアニメ産業の成長が開始されるのである。
図1 アニメ産業の市場規模(2012年)
出典:日本動画協会『日本のアニメ(業界・産業)の推移 2013年版』より作成