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インスタントラーメン
発明技術開発の概要
「瞬間油熱乾燥法」とは、麺を高温の油に入れると水と油の温度差によって麺に含まれている水分が外に弾き出されることを利用した乾燥法である。これによって、麺はほぼ完全乾燥の状態になり、長期化の保存が可能となる。さらに、水分が弾き出された後には無数の穴が空いていて、これに熱湯を注ぐと穴から水分が吸収され、麺は元の柔らかい状態に戻っていく。これにより、インスタントラーメンが抱えていた2つの技術的課題、調理の簡便性と保存性の2点を同時に解決することができた。
こうした着想の原点はてんぷらにあった。安藤の妻がてんぷらを揚げているのを見て、油を用いて乾燥させるアイデアを思いついたという。しかし、さらに工夫が必要だったのは、麺をきれいな一定の形に揚げる方法の開発だった。試行錯誤の結果、針金と金網を加工して手製の四角い型枠を使い、ほぐした麺を同じ厚みに整えてふたをし、ゆっくりと油につけることで、均一に揚げることができた。
この油熱による乾燥法は、インスタントラーメンの保存性の高さや調理の簡便性だけではなく、独特の風味にも寄与している。麺を油で揚げることで、香ばしさやスープのコクを生み、さらに、即席麺特有の食感を生む。
「瞬間油熱乾燥法」を含むインスタントラーメンの基本的な製法は、1962年に「即席ラーメンの製造法」として特許登録されている。同時に乾麺に味を付ける方法も「味付乾麺の製法」として特許を登録している。この2つの特許は、油で揚げるインスタントラーメンを製造する上での基本的な製造技術として、現在でも活用されている。
研究開発の様子(再現:安藤百福発明記念館)
画像提供:日清食品ホールディングス
(本文中の記載について)
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