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インスタントラーメン
概要
インスタントラーメンとは、「小麦粉やそば粉を主原料とする麺食品のうち、調味料の添付、若しくは調味料によって味付けを行った、簡単な調理法により食用に供される製品1」を指す。今や世界中で最もポピュラーな即席食品の一つであり、2013年では世界全体で約1055億食2が消費されている。インスタントラーメンの大消費市場の多くはアジアにあり、世界最大の消費市場は中国・香港の440.3億食、第2位の消費市場はインドネシアで141.0億食である。日本市場は、約54.1億食で続く3位に位置する3。
今でこそ巨大市場に成長し、世界中で親しまれているインスタントラーメンであるが、その歴史は1950年代まで遡り、開発・市場化のプロセスは苦難の連続であった。本稿で特に開発、市場化のプロセスを紹介する「チキンラーメン」はインスタントラーメンという新市場を開拓した先駆的商品であり、日清食品の創業者である安藤百福(以下「安藤」と呼ぶ)による、たゆまぬ熱意とベンチャー精神により生み出された製品であるといえよう。「チキンラーメン」は、油で揚げることで水分を飛ばす「瞬間油熱乾燥法」という新技術が基盤となっていた。こうした今の即席食品の基盤となる技術について、安藤は自宅の庭に建てた小さな研究小屋で試行錯誤しながら開発を行った。
このように日本で開発・市場化されたインスタントラーメンは、今や世界中で受け入れられ、食生活の発展に貢献した製品であるといえる。また、その保存性、調理の簡便性の高さから宇宙食にも採用されるなど、まさに20世紀の文化・技術の発展を支えた革新性の高い商品であると評価できるだろう。インスタントラーメンという新市場の開拓の立役者である安藤が2007年に96歳で亡くなった際、米国ニューヨークタイムズ紙は、社説にて「Mr.Nooodle4」と題された追悼記事を掲載している。このように、インスタントラーメンは、革新性や社会・文化への影響、さらにはイノベーターに対する国際的な評価を勘案すると、戦後日本における極めて重要なイノベーションの一つといえるだろう。
画像提供:日清食品ホールディングス
画像提供:日清食品ホールディングス