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トヨタ生産方式

概要

 トヨタ生産方式は、社祖である豊田佐吉の「豊田式汽力織機」に起源を持つ「自働化」と、トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎の提唱した「ジャスト・イン・タイム」を柱とする経営思想で、喜一郎の急逝後、その志を継いだ、後に社長となる豊田英二と後に副社長となる大野耐一により具現化された。
 「ジャスト・イン・タイム」は、生産工程の各段階に、必要なものを、必要な時に、必要な(量)だけ運ぶことにより、造りすぎのムダ、手待ちのムダ、運搬のムダ、在庫のムダ、動作のムダ、不良・手直しするムダ、加工のムダを排除し、リードタイムの短縮化とともに生産効率の改善を実現しようとする考え方である。これを具現化するために後工程が前工程から部品を引き取り、前工程は引き取られたものだけ生産するという後工程引取り後補充生産という考え方が導入され、その道具として引取り情報、運搬指示情報、生産指示情報を記した「かんばん」が用いられた。その事から「かんばん方式」とも呼ばれた。1963年に全社的に採用されたかんばん方式は、1965年からは外注部品を含むものになった。
 「自働化」はニンベンのついた自働化とも呼ばれ、機械自身に異常の有無を把握する機能を組み込むことにより、機械異常が発生した場合には機械及びラインを停止し、後工程への不良品の供給を回避するものである。自働化された工程では、一人の作業者が複数の工程を管理する「多工程持ち」が行われ、いわゆる「省人」を可能とした。このための道具が1950年に採用された「アンドン」である。
 トヨタ生産方式は、これを動かす「人」を育成することにより初めて実現するものであり、これまでの常識にとらわれない意識改革が重要と考えられている。現在では、トヨタは「社員が問題解決中毒になっているような状態」とも言われるまでになっている1
 1973年に勃発した石油危機は、世界経済に深刻な打撃を与えたが、時間が経つとともにトヨタの利益は回復し、他社との違いが明らかとなった。ここで改めてトヨタ生産方式が注目され、産業界だけでなく、研究者を含め様々な研究・分析が行われるようになった。1990年にマサチューセッツ工科大学のジェームズ・ウォマック等が発表した「リーン生産方式」は、トヨタ生産方式の考え方を基礎としており、あらためてトヨタ生産方式を世界中に普及させるきっかけとなった。
 トヨタ生産方式は、トヨタ自動車グループを世界トップの自動車メーカーに育てるとともに、我が国の自動車産業の発展を実現した高い品質と生産性の実現に大きく貢献したものである。(表1.「企業グループ別自動車生産台数」参照)

表1. 企業グループ別自動車生産台数(OICA調査による)(2012年)

表1. 企業グループ別自動車生産台数(OICA調査による)(2012年)

出典:OICA  World Ranking of Manufacturers  World Motor Vehicle Production, OICA Correspondents survey (2013)


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