安定成長期
レーザープリンター
発明技術開発の概要
LBPのプリントプロセスは複写機に用いられている電子写真プロセスを採用している。下図に示すように、レーザーユニットからのレーザービームは回転するポリゴンミラーにより感光ドラムの上を走査する(これを露光という)。この時、感光ドラムは既に均一に帯電しているため、露光によって静電潜像が感光ドラム状に形成される。この静電潜像は現像ユニットにより可視像となり、次の転写ユニットで紙に転写される。転写された紙は定着ユニットに送られて画像が定着される。一方、転写後の感光ドラムはドラムクリーニングユニットによりクリーニングされ次のプリントに備える。
レーザープリンター概略図(カールソン方式)
LBP-10は、キヤノンが開発したNP方式という電子写真プロセスの応用例といえる。NP方式は、ゼロックスが開発したカールソン方式に比して感光ドラム上に静電潜像を作像するプロセスが異なっている。二層構造のカールソン方式に対してNP方式は導電基板、光導電層、そして絶縁層の三層構造からなり、この三層間のプラスとマイナスの電荷が光を当てることで移動して原稿と同じ潜像を形成する。
このNP方式をLBP-10に応用する際、NP方式での感光体として使用していたCdS(硫化カドミウム)が、半導体レーザーに適応するかが大きな課題であったが、これはその改良(半導体レーザーの発光波長である820nmの赤外光に対応するよう増感して使用)によってむしろ最適と思われる効果を上げた。一方、現像剤については極性の異なるプラス帯電型の液体現像剤を新規に開発している4。