安定成長期
日本語ワードプロセッサ
発明技術開発の概要
かな漢字変換を研究する中で最大の課題は、誤変換を減らし、かつ高い変換率を実現することであり、そのため には①形態素解析のための機械文法を開発し、②同音語に対処できる方法を創出することが必要であった21。
形態素解析を行うため、機械用の辞書と文節の構造を記述した文法理論 (形態論) の研究開が行われた。また、同音語を機械で完全に自動認識することは困難であるため、その代わり、文節内の意味解析と、学習機能を装備することで対処した。また、辞書の構成法の研究開発も進められた。辞書に登録された普通単語は5万4000語、固有名詞は8000語に上った。新聞や雑誌に用いられる時事用語、ビジネス用語など一般の国語辞書には掲載されていない語もカバーした。
本システムの特色として、ユーザーによるかな漢字変換およびその結果に基づくフィードバック学習機能を取り入れたことが挙げられる22。暫定辞書を用いた短期学習と、使用者の用語使用傾向を自動的に学習し、辞書に反映する長期学習機能を導入した23。これにより、変換時最後に選択された同音語を最初に表示させる “Last-Selected, First-Out” という方法が実装され変換の精度が向上した24。