安定成長期
イメージセンサー(CCD・CMOS)
発明技術開発の概要
イメージセンサーを開発するにあたって、ターゲットとした主たる応用は、1970年代半ばから1990年代半ばまでは、コンシューマー向けムービーであった。当初はCCDが主役であり、1500万台/年まで成長した。2000年代半ばには、フルHD(1080本)規格が求められるようになり、高速性で優るCMOSイメージセンサーが主役となった。その後もコンスタントに生産が続いている。
イメージセンサー開発のテクノロジードライバーとなる応用製品は1990年代半ばからコンパクトデジタルスチルカメラに移行していった。画素サイズの縮小に伴って、2000年には130万程度であった画素数は毎年のように増大し、フィルムの解像度を凌駕し、それを置き換えていった。2010年にはデジタルスチルカメラ向けに1億個を超えるイメージセンサーが生産され、2012年には2000万画素のコンパクトデジタルスチルカメラが発売された。しかし、カメラ付き携帯電話の画質が向上してくると、デジタルスチルカメラ市場はカメラ付き携帯電話に浸食されていった。
2000年半ばごろからはカメラ付き携帯電話市場がイメージセンサーにとって主要な市場となり、画質の向上とともに、生産数を飛躍的に伸ばしていった。図2に示すように、2014年にはカメラ付き携帯電話向けを中心に約38億個ものイメージセンサーが生産された。カメラ付き携帯電話は広く世界に普及し、家族・知人間の絆を強めるにとどまらず、個人が世界に映像情報を発信できるようになり、社会の変革の原動力にもなっている。
カメラ付き携帯電話向けが生産数量の70%を占めるが、それに続いて生産数量が多い応用製品は、タブレット、パソコン・ウェブカメラ、監視、車載、ゲーム、デジタルスチルカメラ、ムービー、音楽プレーヤー、医療、放送である。
医療用応用製品のなかで、内視鏡は特筆に値する。イメージセンサーの小型化により、軟性内視鏡の先端にイメージセンサーが装着できるようなった。その結果、従来のファイバースコープに比較して解像度が格段に改善され、診断精度の向上・内視鏡手術の発展につながっていった。
また、車載用カメラは、死角をなくすために後方監視カメラから始まり、現在では、全周囲の監視、前方障害物を検出し自動的にブレーキをかける自動ブレーキシステムが実現している。さらには自動運転へ向けての開発が活発に行われている。これらにおいて、イメージセンサーは重要な役割を担っている。
今や至る所でイメージセンサーが活躍しており、高性能化・新しい機能の付加・低価格化によりますます応用分野が広がっていっている。