安定成長期
移動電話(自動車電話、音声符号化等)
発明技術開発の概要
我が国の携帯電話市場がいわゆる「ガラパゴス化」したと評されているにもかかわらず、我が国で開発された技術が世界の携帯電話技術の必須の基本技術となっているものも少なくない。その一つが、電電公社が1975年に開発したLSP(Line Spectrum Pair:線スペクトル対)方式である23。
携帯電話などで音声を能率よく伝送するためには、これまでの音声波形をそのままの形で伝送する方式では大きな伝送容量を必要とすることから、音声を能率よく伝送するための新しい通信方式が求められていた。「LSP方式」は、限られた伝送帯域でより多くの音声通信を行うために、音声の高圧縮符号化を実現するための基本技術で、音声の中から口の形に対応した周波数特性を効率よく表現できるので、より少ない情報量で同等の音声品質を得ることができるものである。1980年には線スペクトル対に基づく音声合成チップが作成され、この技術はほぼすべての国際音声符号化標準に必須の要素技術として採用されている。この発明は、第3世代携帯電話の3GPP、3GPP2の双方に組み込まれているほか、日米欧の第二世代ハーフレートあるいは改良フルレートに採用されている。