現代まで
リサイクル・リユース
概要
戦後日本のごみ問題は経済発展の負の部分として衛生問題、公害問題、そして環境問題として常に大きな社会的問題であった。ごみ処分場の確保は自治体間に深刻な角逐を産み、不法投棄は年々深刻化していった。
ごみはそれを循環させて使用するとの発想は、古くから日本にはなじみの深いものであったが、1980年代から90年代にかけて廃棄物の急増に直面するなかで、従来とは違う抜本的な処理の仕組みを構築し、積極的にその再利用を図ろうという動きが政府、地方公共団体そして民間企業等においても活発化してきた。
こうして家庭ごみにおける分別回収の徹底、ペットボトルの再生繊維としての活用や古紙のパルプに代わる再利用や瓶の再利用のための更なる技術の開発などが推進されていった。
1990年代に入ると政府は相次いで関連立法を行い、1991年には「資源有効利用促進法」(平成3年4月26日法律第48号)が制定され、更に1993年にはいわゆる「省エネ・リサイクル支援法」(「エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法」平成5年法律第18号)が制定され、更に家電、食品、建設資材、自動車等問題物資ごとに法制度面からリサイクル、リユースシステムの枠組みが整備され、循環型社会形成は国民的課題となった。
この結果、リサイクル、リユースは国民に広く認識され、例えば90年代初頭にはほぼゼロに等しかったペットボトルの回収率は2007年には7割近くまで上昇するまでになった。
マクロ的にも、資源の循環利用率(循環利用量/(循環利用量+天然資源等投入量))を平成2年度から平成24年度までにはほぼ倍増させ、廃棄物の埋立量はかつての2割以下にまで縮減するという実績を上げるまでになった。また、資源循環を目指した新たな技術、ビジネスモデルが次々と誕生しつつあり、それらは21世紀の国際的な資源循環モデルの構築に向けても新たな展望を切り開きつつある。「リサイクル・リユース」の仕組みづくり等の成功は、20世紀末から現代まで、循環型社会構築を目指して日本国民の多くが取り組み、着実に成果を上げてきた国民的イノベーションと言える。
図1 PETボトルリサイクル状況
PETボトルリサイクル推進協議会(2000~2004年度は旧回収率)