現代まで
多機能携帯電話(i-mode、カメラ付きなど)
概要
多機能携帯電話は、音声通話に加え、電子メール、インターネット接続、音楽再生、動画再生、カメラ、電子マネーなどの機能を備えた携帯電話である。
1999年2月にエヌ・ティ・ティ移動通信網(現 NTTドコモ、以下「ドコモ」と呼ぶ)がサービスを開始した「iモード」1は、世界に先駆けて携帯電話単独でのインターネット・アクセスを実現したもので、それまでビジネスユーザ中心であったインターネットを個人ユーザに拡大させる契機ともなったものである。サービス開始の半年後には契約数が100万に達し、その1年後には1000万を超えた2。iモードの登場は、モバイル市場の創出・拡大を加速した。当初、「ニュース」「モバイルバンキング」「チケット」など実用的な分野で始まったコンテンツは、その後、ゲーム、「着うた」3、「デコメール」4等のエンターテインメント性の高いサイトにも拡大した。2005年のインターネット利用者は、携帯電話等の移動端末を利用する者(推計6923万人)がパソコンを利用する者(推計6601万人)を初めて上回るものとなった5。IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)は、ドコモの「モバイルインターネットサービスを国際的にリードしてきた『iモード』サービスの計画立案・開発・サービス展開での革新的な活動」を高く評価し、2005年に「IEEE Corporate Innovation Award」を贈り、その業績を称えた。
2000年11月にJ-フォン(現 「ソフトバンクモバイル」)が発売した「モバイルカメラ搭載カラー携帯電話J-SH04」は、新たに開発したレンズ一体型、約11万画素CMOSイメージセンサを搭載したもので、このカメラで撮った写真を電子メールの添付ファイルとして送信するサービスは翌12月に開始された。J-フォンが2001年夏季キャンペーンで「写真付き写メール」というキャッチコピーを用いたことから、その使い方が広く知られるようになり、若者を中心に爆発的支持を獲得し、契約数も急増した。その後、「Sha-Mail」という言葉は海外でも使われるものとなった。総務省の調査によれば、2006年度の我が国の携帯電話加入数9672万のうちカメラ付きのものは8386万であり、その、約87%を占めている6。
これらの多機能電話の登場により、我が国のモバイルビジネス市場は急速に成長し、2010年のモバイルコンテンツ市場は6500億円、モバイルコマース市場は1兆円強を記録し、これらを合わせたモバイルビジネス市場は初めて1兆6000億円を超えた7。