現代まで
太陽電池セル
概要
太陽電池とは、「太陽の光エネルギーから電気を作り出す装置」である1。エネルギー供給源は化石燃料などと異なり無尽蔵の太陽エネルギーであり、また、クリーンな性格から地球温暖化への優れた対応手段として各国でその開発が進められてきた。
我が国は、世界の中でも早くから太陽電池に関する研究に取り組んできた。1955年に日本電気(以下「NEC」と呼ぶ)の林一雄らによって我が国で最初の太陽電池が開発されている。NECで開発された太陽電池は、1958年に東北電力信夫山無線中継局で初めて実用化され、翌1959年には山口県笹筏瀬の無人灯台用の電源としても実用化されている。シャープも1959年から開発に着手し、1963年から量産を始めた。大きな転機は1973年に起きた第1次オイルショックである。これを契機に策定された「新エネルギー技術研究開発計画」、通称「サンシャイン計画」のもと、太陽電池に関する研究が官民挙げて本格的に推進されることとなった。様々な業種に属す企業が太陽電池開発を手掛けたことにより、灯台、人工衛星への搭載や電卓への活用などを経て1993年には京セラが初の住宅用光発電システムの販売を開始した。翌1994年にはシャープが系統連系可能な住宅用光発電システムを商品化するなど次々に世界の開発をリードしていった。1999年には我が国の太陽電池生産量が米国のそれを抜き世界一となった。2011年にはその発電量は491万kWに達するなど、我が国を代表する再生可能エネルギーの源となっている。
太陽電池(セル)は、20世紀後半における資源小国日本の様々な産業分野の企業が石油危機という未曽有の環境変化のなかで脱石油に向けて切磋琢磨する中でその開発に貢献してきた技術、製品であり、その継続的な成果向上は地球温暖化が懸念される今日の世界においてはより重要性を深めている。その意味で太陽電池の開発発展は我が国企業群が地球的課題に対処したイノベーションを代表するものと言えよう。