現代まで
(第2世代の)シールド工法
概要
トンネルの掘削に用いられる技術には、山岳工法、開削工法そしてシールド工法があるが、山岳工法は地下水処理の観点から都市部では普通行われず、また開削工法は用地を多く必要とすることから駅頭の特別なケースで用いられ、一般的な都市トンネル工法はシールド工法が主流である。シールド工法は、19世紀前半の英国で開発され世界的に普及した技術である。日本においても戦前から導入され1942年の関門海底トンネルの掘削はこの工法によって成し遂げられている。
戦後、鉄道、道路などの延伸に伴うトンネル掘削工事の増大と、新たに人口密集地帯である都市部における地下鉄や、埋設導管の敷設が頻繁に行われるようになると、切羽での掘削に伴う作業員の安全性確保や工事期間の短縮化が強く求められるようになった。当時は掘削機の切羽に圧気をかけるなどして地下水の出水を防止し、マシン内のデッキ上に作業員が配置され、つるはしを振るう場面も見られる手掘り式であったが、1970年代からはマシン前面を隔壁によって密閉し、泥水ないし泥土で地山に圧力をかけた上で機械(カッター)が掘り進む工法(泥水式・土圧式)が開発されていった。最初に開発された密閉型シールド工法の泥水式は、掘削現場から排水される地下水を作業前面に一定量確保し、その圧力をコントロールしながら掘り進む技術であり、土圧式(泥土圧)は掘削された泥土に加泥材(作泥土材)等を混入して流動性を確保しつつ土圧を保持して掘削する工法である。これによって作業員が切羽で作業する危険性から解放されるとともに、掘削の焦点、方向性が正確になり作業の効率が大幅に向上した。泥水式、土圧式いずれも日本企業による開発の貢献が大きいが、特に土圧式は日本独自の開発によるものである。
泥水式、土圧式(泥土圧)の開発、展開によって日本のシールド技術は世界に伍する競争力を確保し、海外でも英仏海峡トンネルの建設やボスポラス海峡トンネルなどでもその技術が評価され、貢献するまでになっている。
現在はこの第二世代工法から更に進んだ大断面化、大深度化そして長距離化されたシールド工法が展開中である。
画像提供:熊谷組