公益社団法人発明協会

現代まで

DVD

発明技術開発の概要

  DVDは多数の発明・技術開発により実現したものであるが、その最も重要なひとつとして、CDとの互換性を持たせた読み取りヘッドについて説明する。

 動画記録などを行うDVDでは、記録密度を高めて大容量とするため、記録マークを小さくすることが重要である。DVDは、650nmのレーザー光波長を用い、レンズ開口数を0.6、ディスク基板厚を0.6㎜としているのに対し、CDでは780nmの光波長を用い、レンズ開口数0.45、ディスク基板厚1.2㎜を用いている。このように開口数などが異なるディスクに対して同時に対応できる対物レンズや読み取りヘッドは存在しなかった23。そのような中で、パナソニックは、DVDとCDの双方に光スポットを形成する単一レンズを開発した。これは、「1個のレンズでDVDとCDを互換記録/再生する基本方式として、(a)レンズを同心円状の内外周部に区別し、内周部はDVDとCDの両方に使い、外周部はDVDのみに使用することで、開口数が異なる課題を克服し、(b)回折素子を用いて光線の方向を変えることによって内周部を通る光を異なる基材厚に各々収束させるものであり、「ホログラム2焦点方式」と呼ばれる。さらに、ピックアップについても「DVDとCDを1つの光路によって構成するとともに、新規検出レンズによって小型化」を図ったものである24

 これらの開発により、東芝とパナソニックにより提案されたSD規格は、ソニーやフィリップスが進めていた、MMCD規格よりも高い記憶容量を持ちながら、CDとの互換性をも実現し、その普及を一段と加速するものとなった。

 この技術は、据置型DVDプレーヤー/レコーダーだけでなく、ポータブルDVDプレーヤー、PC用の内蔵/外付けDVD装置などに展開され、2009年の世界市場では約4億台が生産された。


TOP