高度経済成長期
ヤクルト
概要
ヤクルトは、乳酸菌「ラクトバチルス カゼイ シロタ株」(以下「乳酸菌 シロタ株」と呼ぶ)を含んだ乳製品乳酸菌飲料であり、その名称はエスペラント語でヨーグルトを意味する「ヤフルト」に由来する1。
1930年に医学博士の代田 稔が発見し強化培養された乳酸菌(現在の乳酸菌 シロタ株)は耐酸性を有し、胃液や胆汁などの消化液に負けず生きたまま腸内に到達し有益な作用を発揮する点に特長がある。
代田博士は栄養失調や不衛生な環境から感染症などに苦しむ子どもたちを救おうと、その普及活動に生涯を捧げ、1935年に有志とともに「ヤクルト」の商標で販売を開始した。1940年には日本の各地にヤクルト販売専門の「代田保護菌普及会」が誕生するなど地道な活動によって全国にこれを支援する人々が増えていった。
ヤクルトが国民的とも言える飲料となったのは戦後になってからである。地道な普及活動によって構築された全国のネットワークを踏まえて、1963年からいわゆる「ヤクルトレディ」による独自の販売システムの構築を進めた。1968年にはヤクルトレディの労力を大幅に軽減する画期的なプラスチック容器の開発などによって商業的にも大成功を収めヤクルトは家庭にとどまらずオフィスなどの職場においても消費者を獲得し、大人から子どもまでが愛飲する一大飲料となって現在に至っている。
市場は海外にも展開され独自の販売システムを踏襲しつつも、それぞれの国や地域の文化、習慣を尊重し合わせることで、海外でも地域に密着した販売の拡大、普及に成功している2。