公益社団法人発明協会

高度経済成長期

座席予約システム

発明技術開発の概要

 国鉄が日立製作所の協力を得て開発したMARS1は、中央の座席台帳とそれを管理する大型電子計算機、各窓口の端局装置、両者をつなぐ通信回線から構成された。座席用ファイルとして40万ビットの磁気ドラム記録装置を採用し、座席パターンの検索と更新のために、1列車の各座席の空き状況を示す900ビットのレジスタをはじめ、端末との通信用、予約通知書の印刷用、CRT表示用などに大容量のレジスタが使用された。窓口係員が利用者の申し込みを受けて端局装置を操作すると、情報は中央の電子計算機に送られ、所要の座席が割り当てられ、その結果が端局装置に返される。中央からの回答を端局装置の自動印刷機構が印刷する仕組みとなっていた16。また、当時としては珍しいCRTを備えた端末装置も導入された。

 MARS1の後継機として開発されたMARS101は、二重系のマルチコンピュータシステムで、1組の主コンピュータと、3組の副コンピュータから構成された。主コンピュータはスループットを最大にするように仕事の流れを制御することと、リアルタイムでない他の処理の実行を行い、3台の副コンピュータは、通信制御、テーブル検索及び座席データの管理を担当した。高度な割り込み機能、メモリを時分割使用するデータチャネルと、チャネル制御にメモリを利用する入出力チャネルを備え、入出力装置の同時使用性を高めた。また、新たに多数の係員が発券業務を行うことから、キーボード操作になじみが少ない係員のために、活字用印字の付いた棒(活字棒)を装置に差し込むことによって、データ入力と券面の印刷ができる仕組みも採用された。


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