高度経済成長期
自動改札システム
概要
自動改札システムは、1967年に京阪神急行電鉄(現 阪急電鉄)・北千里駅に初めて導入された。1960年代、大都市圏の通勤ラッシュ時における混雑は、社会問題となっていた。しかし、改札口の大勢の利用客たちに対して、駅員は手作業で、一つ一つの切符を切っていた。混雑の解消をマンパワーで対応するのには、限界があった。
自動改札システムにおいては、利用客が自動改札機の挿入口に券を差し込むと、取り出し口から0.5秒後に券が返却される。この短い時間の中で、自動改札機は、乗車時刻、乗降駅名、料金、有効期間といった様々な情報を一瞬で処理する。
この自動改札システムの導入によって、駅員が改札業務に携わる時間は大幅に減少し、改札口の混雑は大幅に改善されることになった。それはまた経費の節減にも直結するものであった。
自動改札システムは、北千里駅に初めて導入されて以降、近畿圏を皮切りにして急速に普及が進み、全国に広がっていった。その技術は近年においても革新を続けており、ICカードの採用をはじめとして、利便性は向上し続けている。
2007年、米国電子電気学会はその功績を讃えて「IEEEマイルストーン」に認定した。
自動改札システムの研究開発は、鉄道会社が単独で行ってきたものではなく、そのプロセスにおいては、大学や民間のメーカーの協力が不可欠であった。以下の記述においては、自動改札システム開発の経緯と技術的なポイントについて述べることとする。
阪急北千里駅に設置された自動改札機
画像提供:オムロンソーシアルソリューションズ