高度経済成長期
回転寿司
発明技術開発の概要
回転寿司を支える技術として、自動給茶装置、二段式コンベア、しゃり玉ロボット、自動皿勘定システム、タッチパネル式オーダーシステム、特急レーンなど、これまでに様々な要素技術が開発されてきた。こうした技術開発は、回転寿司の経済効率性を高める上で重要な役割を果たした。
石野製作所は、1988年8月に全自動寿司供給装置付寿司コンベア「NACS」を、1996年4月にはクリアリーフ付き寿司コンベア機を、1997年12月には加熱保温機「ぽか丸」を販売開始した。また、1999年には自動清算システム「OAISO」を発売した。このシステムでは皿に埋め込まれたICチップを機械が読み取るため、従来とは異なり、店舗側が皿の枚数を数える必要がなくなった。このように、同社は前述の給茶機を含め回転寿司に係る技術を数多く開発した。
また、寿司を構成する要素である「しゃり」を自動化する技術は、1977年より開発が開始され、1981年9月に試作1号機「江戸前寿司自動にぎり機」が完成し、同年12月に発売された。同時期、北日本カコーも「自動寿司握り機」を販売開始している。
さらに、「ネタ」に係る加工技術の進展も、回転寿司の低コスト化に寄与した。1980年に東洋冷蔵が開発した加工技術では、魚をさばいてサクと呼ばれる短冊形の状態に切り分けし、規定の大きさに一枚ずつ切り分けを行った上、それらを発泡スチロールのトレイに並べ、真空パック化し箱詰めを行い納品する技術を開発した。
回転寿司システムの技術革新では、1996年、自動皿カウント、水回収システムが、翌1997年には時間制限管理システムが導入されている。1999年には、自動廃棄システムを導入することで、皿の裏側にQRコードを張り、センサーが読み取ることで、一定の時間の経過した皿を自動的に廃棄することを可能とした。 その後、2001年には、画面に触れることで寿司注文を可能にしたタッチパネルが開発されている。これによって従来は口頭やインターフォンで行われていた寿司ネタの発注が自動化され、注文ミスを減少させることができた。
回転寿司に係る技術開発を概括すると、次の3つに分類することができる。①ベルトコンベアシステムや自動給茶システムなど、回転寿司の提供様式自体を成立させるために必要不可欠な技術、②自動握りシステムや加工技術など、回転寿司に係るコストをより低コスト化させるための技術、③自動廃棄システムやPOSシステム、タッチパネルなど、回転寿司の提供プロセスをより最適化するための技術である。そして、これらの技術は、回転寿司産業の進展、及び拡大に応じて順次導入されていったことが確認できる。このように、コストの効率化及び付加価値の最大化を同時に実現する上で、様々な技術革新が回転寿司のビジネスモデルに極めて重要な役割を果たしたのである。
(本文中の記載について)
※ 社名や商品名等は、各社の商標又は登録商標です。
※ 「株式会社」等を省略し統一しています。
※ 氏名は敬称を省略しています。