高度経済成長期
コンビニエンスストア
概要
コンビニエンスストア(以下「コンビニ」と呼ぶ)は、フランチャイズ方式の加盟店である小規模な店舗において年中無休かつ長時間の営業を行って、主に食品、日用雑貨などの多数の品種を扱う小売店である。経済産業省の商業動態統計調査によれば2012年の売上高は9兆4772億円で、日本の小売商売上げの 6.9%を占めている1。
日本におけるコンビニの本格的なチェーン店の展開は、米国で先行していたものを導入した1970年代前半に始まる。後年著名となった第1号店は、1974年に東京都江東区にオープンした店舗面積20坪強のセブン-イレブン豊洲店である。
1970年代はスーパーマーケット(以下「スーパー」と呼ぶ)の成長期であり、大量販売による店舗の大型化が進み、また、ディスカウント販売が主流であった。このことは、一方で既存の商店街等中小小売業との厳しい対立を生み、大きな政治問題へと展開していく時期でもあった。このような中でセブン-イレブンは、既存小売店との共存共栄を目指す立場から第1号店からフランチャイズチェーン2店方式の導入を行った。そして、小規模店舗であっても定価販売、一方で長時間の開店時間や年中無休という当時の小売業界の大小いずれとも異なる営業方式を採用し、新たなビジネスモデルを実現したのである。
豊洲店のスタートとともに、セブン-イレブンは独自のきめこまかな商品管理、流通システムの改革(小分け配送システム)、そして情報処理等における先端技術の活用(POSシステム)等画期的な手法を相次いで開発していった。これにより消費者の評価を高め、売上げは急増し、加盟店も増加していった。
セブン-イレブンの開業後、相次いでローソン、ファミリーマートなど多くの企業がこの分野に参入し、現在では一大産業へと発展してきている。2012年度時点で国内店舗数は約5万店3、最も店舗数が多いセブン-イレブンが1万5072店舗(売上高3兆5084億円、)4、2番手ローソンが1万1226店舗(売上高1兆9065億円)5、3番手ファミリーマートが1万162店舗(売上高1兆5845億円)6等である。そして、日本のコンビニ産業は、日本人の暮らしの変化に対応し、近年においてはプライベートブランドの開発など商品開発力を向上させるとともに単に小売業の範疇を超え、コピー機設置、24時間稼働の銀行ATMの設置、公共料金収納代行事務、宅配送サービスの取次など次々と新サービスをも提供してきている。
さらに、日本で発展したコンビニ産業は、今やアジアから世界へと市場を展開しつつあり、セブン-イレブンの店舗数は海外のそれが国内を上回るまでになっている。
初期の「コンビニおにぎり」
画像提供:セブン&アイ・ホールディングス