公益社団法人発明協会

高度経済成長期

CVCCエンジン

概要

 1973年に登場した複合渦流調速燃焼方式(CVCC1)エンジンは、本田技研工業及び本田技術研究所(以下「ホンダ」と呼ぶ)が当時、実現不可能といわれた米国の改正大気浄化法(以下「マスキー法」と呼ぶ)による自動車排出ガス規制基準を、世界に先駆けて、後処理を行うことなくクリアした低公害エンジンである。CVCCの開発成功は、世界の自動車メーカに低公害車の本格的開発を促すとともに、ホンダの四輪車メーカとしての地位を確固たるものとし、我が国自動車産業の技術力を内外に示すものとなった。1973年、米国科学アカデミー(NAS)はCVCCエンジン技術を高く評価した。

CVCC Engine (1972.10)

CVCC Engine (1972.10)

出典:本田技研工業

 ホンダの四輪自動車の海外への輸出は、CVCCエンジンを搭載した最初のモデルであるシビック・CVCCの北米への輸出が本格化した1975年以降飛躍的に増加した。1975年は19万1274台に過ぎなかったが、1980年には65万8986台と3.5倍に増大した。これによりホンダは世界の有力自動車メーカとしての地位を確立した。また、シビックCVCCは米国連邦環境保護庁(EPA)の燃料経済性調査において販売以来4年連続して1位を記録し、その後の日本自動車産業の国際競争力の源泉となる燃費性能の点でも画期的なものであった。

表1 本田技研工業の四輪車輸出台数推移

表1 本田技研工業の四輪車輸出台数推移

*CVCCエンジン搭載車の輸出は、1975年に始まる。
**1982年から米国での四輪車・四輪車用エンジンの生産を開始

出典:一般社団法人日本自動車工業会JAMAデータファイル


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