年頭所感

令和2年の新春を迎えるにあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

当協会は、発明の奨励に対する皇室の格別な思し召しにより、長年にわたり御下賜金を拝受し、全国発明表彰では恩賜発明賞を、全日本学生児童発明くふう展では恩賜記念賞を贈呈しております。昨年は、即位礼正殿の儀をはじめ、御代替わりに関する一連の行事が執り行われましたが、御退位されました上皇陛下には心より感謝申し上げますとともに、改めて天皇陛下の御即位をお祝い申し上げます。

昨年は旭化成名誉フェローの吉野氏がノーベル化学賞を受賞される大変喜ばしい出来事がありました。受賞理由となった「リチウムイオン電池の開発」は、平成14年度全国発明表彰において「アルミ箔を正極集電体とするリチウムイオン電池の発明」として文部科学大臣発明賞を受賞されており、我々にとっても大変誇らしい思いです。また、こうした優れた業績や成果が大きく取り上げられることは、未来を担う子ども達に夢を与えるきっかけとなります。吉野氏がファラデーの著作「ロウソクの科学」を読んで化学に興味を持ったように、この度のノーベル賞受賞を機に科学技術に関心を抱く子ども達が増えることを期待しております。

当協会は青少年の創造性を育成するため、全日本学生児童発明くふう展及び未来の科学の夢絵画展を実施しておりますが、本年より『春の発明ウィーク』として、3月に両展覧会を同時開催いたします。創造性豊かな作品を通して、多くの子ども達に創意工夫の魅力が伝えられるよう、本事業にご協賛いただいている企業・団体による発明教室等と併せて盛り上げていきたいと存じます。
 また、9月には上記展覧会受賞者を中心とした海外派遣団を結成し、ロシアでは初の開催となる世界青少年発明工夫展に参加する予定です。各国の若きイノベーターが集う世界展は、彼等との交流を通じてクリエイティブな感性を磨くとともに、国際的な視野を養う貴重な機会となっております。
 今後も我が国から優秀な科学者・研究者が継続して輩出されるよう、青少年の創造性を育成する各事業を推進してまいります。

発明奨励事業につきましては、本年より全国発明表彰・第二表彰区分の賞名を「未来創造発明賞」に変更いたします(旧名称:「二十一世紀発明賞」)。今後も当協会と各道府県の発明協会が共催する地方発明表彰と併せて、我が国科学技術の振興と産業経済の発展に寄与すべく、本事業の着実な実施に努めてまいります。

本年も全国各地の発明協会及び一般社団法人発明推進協会との連携を密にし、発明の奨励、青少年の創造性育成等の諸事業に全力で取り組む所存でございますので、皆様におかれましては、引き続き当協会の活動にご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 最後になりましたが、本年が平安で皆様のご健勝の年となることを祈念いたしまして、年頭のご挨拶といたします。

公益社団法人 発明協会
会 長  野 間 口 有

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