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発明協会の表彰事業

令和8年度全国発明表彰 選考経過報告

 令和8年度「全国発明表彰」の選考経過をご報告申し上げます。
 まず、本表彰の候補を、昨年7月に朝日新聞などを通じて公募するとともに、全国各地の発明協会や関係諸団体に推薦をお願いいたしました。
 その結果、全国の学界や産業界などから、優れた発明や意匠並びに功労者の方々の推薦を多くいただきました。
 これらの候補案件を選考委員会において慎重に評価し、最優秀発明に授与する恩賜発明賞、それに続く内閣総理大臣賞や文部科学大臣賞、経済産業大臣賞などの各賞と、第2表彰区分の優れた発明に贈る未来創造発明賞などをこれからご報告するとおりに選定しました。

 まず、恩賜発明賞には、中外製薬株式会社の井川智之氏をはじめ4名による、『リサイクリング機能を付与した抗体の作製技術の発明』を選考しました。
 本発明は、1分子の抗体が複数の抗原に繰り返し結合する抗体の作製技術に関するものです。従来の抗体医薬品は抗原に一度結合すると再利用できず、多量の投与が必要でした。
 本発明では、中性条件下で抗原に強く結合し、酸性条件下では結合が弱まり、抗原を解離するよう設計することで、抗体を再利用可能にする「リサイクリング機能」を実現しています。
 これにより、抗原の量が多く治療が困難な病気にも対応可能になるとともに、抗体の投与や通院回数の低減を通じて、患者の負担軽減と医療費抑制を実現しております。

 恩賜発明賞に続く、内閣総理大臣賞、文部科学大臣賞、経済産業大臣賞などについても、極めて優れた発明や意匠でありご紹介すべきでありますが、時間の都合で省き、皆さまに配布した功績概要をぜひご覧いただきたいと思います。

 次に、近年、発展の著しい第2表彰区分の優れた発明に贈られる未来創造発明賞の紹介をいたします。
 この未来創造発明賞には、元・徳島大学の岡久稔也氏や株式会社タカトリの村島徹氏など、5名による、『難治性胸腹水の自動ろ過濃縮装置の発明』を選考いたしました。
 本発明は、癌や肝硬変などにともなう難治性の胸腹水のろ過・濃縮装置における自動化技術であります。
 胸腹水のろ過や濃縮は重要な治療法ですが、細胞成分や蛋白質の凝集の塊による、ろ過器と濃縮器の目詰まりが起きやすい課題がありました。
 本発明では回路内の圧力監視と制御により、ろ過器の自動膜洗浄や濃縮倍率の調整を行い、ろ過や濃縮の自動化を実現しました。
 これにより、多量の胸腹水の安定処理が可能となり、手作業を不要とし、患者、医療従事者の負担を軽減し、今後の癌治療の発展に貢献することが期待されます。

 本日、受賞された皆様には、これを機により一層研究開発や意匠の創作に邁進されますようご期待を申し上げます。
 以上をもちまして、簡単ですが選考経過の報告とさせていただきます。

令和8年6月15日

公益社団法人 発明協会

全国発明表彰 選考委員会
委員長  榊󠄀  裕之