【令和7年度九州地方発明表彰】
発明協会会長賞

発明のポイントをお教えください
以前から美味しいと感じる食べ物の特徴は、脂が乗っていてまろやかで、口の中で脂が溶け出し、戻り香の余韻が持続することだと思っており、長年、養殖魚の生産者として、そのような特徴をもった魚を作るべく取り組んでまいりました。近年、魚由来の飼料原料が高騰し、植物由来の原料への切り替えを余儀なくされる中、松阪牛やイベリコ豚の生産方法をヒントにして、飼料中の脂肪酸に着目し、脂肪酸の種類と割合を調整することにより、くちどけの良い養殖魚作出方法を発明することができました。
苦労した点はどこでしょうか
試作した養殖魚が、今までの養殖魚と比べて、くちどけがよいことは感覚的には明らかでしたが、科学的に魚のくちどけを評価する指標がないことが問題でした。そこで、養殖魚のくちどけ感の関与成分として、脂肪酸が喫食時の温度帯で物性が変化する可能性に着目し、種類と組成を示差走査熱量計(DSC)で測定しました。その結果、当社開発の養殖魚は、脂が溶け終わる融点が非常に低く、このことは、官能評価でのくちどけの良さを示唆しており、今回客観的なデータとして活用しました。
受賞のご感想をお願いします
うれしいです。くちどけというと、チョコレートや和牛などが挙げられますが、魚では着目されていない中、受賞できるとは思っておりませんでした。
これを機に、くちどけの良い養殖魚を皆様に知っていただき、特に魚のにおいが嫌いな人や、食わず嫌いな人に食べていただきたいと思います。
さらに、私たちが生産する養殖魚をお客様の嗜好に合わせて進化・特化させ、満足度の高い食べ物として認知されるように、今後とも生産をしていきたいと思います。
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