【令和7年度近畿地方発明表彰】
特許庁長官賞

発明のポイントをお教えください
本発明は積層セラミックコンデンサー(MLCC)など電子部品を製造するために使用されるバインダー樹脂に関するものです。MLCCは誘電層と電極層が交互に最大で数百積層された構造体です。このため各層間の接着性が高くないと製造時に欠陥を生じます。我々は、電極層に使用されるセルロース誘導体と誘電層のポリビニルブチラール(PVB)との接着性を改善するため、セルロース誘導体とPVBとをハイブリッド化した新規バインダーを考案しました。
苦労した点はどこでしょうか
セルロース誘導体とPVBとのハイブリッド化は、各ポリマーに重合性官能基を導入して化学結合することで早期に実現できました。ただし、製品化においては、本バインダーを一成分とする顧客のペースト設計に依存しました。一時期、目標とするペースト特性が得られず、実用化が危ぶまれる状況がありました。これに際しては、双方の熱意ある協業によって無事に課題を解決し、顧客での製品導入が実現しました。
受賞のご感想をお願いします
この度、特許庁長官賞という栄誉ある賞を賜り感謝いたします。本発明は電子部品の製造に必要な新規バインダー樹脂に関するものです。電子部品産業は日本が高い競争力を維持している分野の一つであり、微力ながらも貢献できたことを嬉しく思っています。今回の受賞には、顧客との協業や協力が寄与しており、改めて感謝いたします。私自身は新規技術開発を長く続けてきましたが、これからも発明によって社会に貢献したいと思います。
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