本発明は、従来の「骨固定ワイヤ」にはない、①ワイヤ表面の平滑性、②しなやかさ性、③伸縮性等の機能を付加する技術を活用し、「高い骨癒合環境を実現する体内固定ケーブルシステム」を実現しました。高い張力の発現と維持に加え、ワイヤを中空構造とすることで断面が扁平形状になるため、接触面積が大きくなり、締結力が分散され、二次的なダメージの減少にも繋がりました。骨粗鬆症患者にも使用可能であり、治療後のＱＯＬを向上することができます。

　ワイヤの金属材料は国の規格により６−４Ｔｉ合金材を採用しており、所望の引張力を満足する構造と、ワイヤの撚線方法等の構成をどうすればよいか、また、伸縮性を出すための熱処理条件等の設定をいかにするべきか、思案を繰り返す中での開発でした。先ずは、芯線をガイドとし、手作業による並列撚線試作で、条件を見出し、基本撚り方法を確立する中で、並列撚線装置の開発を進め、量産化することができました。また、開発時は６−４Ｔｉ合金材を使った細線の国産品がなく、大手材料メーカーに協力いただいたことが開発に大きく貢献しております。

　この度は、本発明の撚線技術を、ご評価いただき、このような名誉ある賞を受賞させていただきましたことに、深く感謝申し上げます。受賞にあたり、ご協力・ご支援をいただきました皆様へ、深くお礼申し上げます。
　引き続き、患者への低侵襲性医療機器として国内医療機器業界に貢献していきたいと願っております。
　さらに、本撚線技術を応用し、新たなる医療機器の開発を進めており、「ふくしま発、医療機器を、世界へ」を目指しております。