中小企業庁長官賞

骨折固定用中空ワイヤ（特許第6190994号）

［福島県発明協会］

赤津　和三

株式会社シンテック　代表取締役

　本発明は、大腿骨や腰骨等の太い骨を強い緊縛力で固定する強度を備えながらも、骨粗鬆症の患者にも対応できるよう、緊縛力が強すぎる場合にはこれを吸収するだけの伸びや、しなやかさを備えた骨折固定用中空ワイヤ（ケーブル）である。
　本発明のワイヤは、複数本の金属線を長さ方向に間隙部を開けて螺旋巻きした内外二層の螺旋体であり、螺旋体同士の螺旋方向は逆向きとしている。この構造により、本発明のワイヤには伸縮性が付与され、ワイヤを伸ばすと元の長さに戻ろうとする復元力が働くことになる。
　本発明のワイヤを骨折部位に巻いて引き締め、骨折部位を固定すると、骨折部位にはワイヤの復元力が緊縛力として作用する。さらに、数十本の細線を螺旋巻きで構成する製法であることから、表面が滑らかで、しなやかさを有しているため、しっかりと骨を固定することができる。
　また、骨固定部が凸状の場合、ワイヤが扁平に変形して追従し、骨の損傷を防ぐため、骨粗鬆症などで骨が弱っている場合も利用可能であり、患者のＱＯＬ向上に寄与することが期待される。

ワイヤの拡大写真、締結部品

脊髄樹脂模型を用いた締結状態の拡大写真