【令和5年度近畿地方発明表彰】
特許庁長官賞
氏名: | 寺山 暢之 |
会社名: | 神港精機株式会社 |
部署・役職: | 装置事業部 真空装置技術部 マイスター |
発明の名称: | アーク放電型マグネトロンスパッタリング装置 |
特許第6577804号【受賞発明の内容】 |
発明のポイントをお教えください
薄膜コーティングの手段として、一般的にマグネトロンスパッタリング法が使われていますが、グロー放電を利用していることから、基板に入射するイオン量が少なく、反応性窒化膜を高速で成膜することができませんでした。本発明では高密度プラズマが得られる熱陰極アーク放電に着目し、スパッタされた粒子を熱電子衝撃により電離させることで、入射イオン量を一桁アップさせて、緻密で硬い反応性窒化膜を工業的な成膜速度で生産できるようにしました。
苦労した点はどこでしょうか
スパッタ粒子をイオン化させるための熱電子源は、線径1㎜、長さ800㎜のタングステンフィラメントを使用しています。本フィラメントを2000℃以上に加熱し、これに負の電圧を印加して熱電子を放出させるのですが、熱膨張により10㎜近くも延び、その結果、フィラメントの変形、揺れや地絡が度々起こっていました。フィラメントが延びても変形しないよう、片側が可動するような構造および左右の揺れが防止できるような制限機構の設計開発に苦労しました。
受賞のご感想をお願いします
この度は特許庁長官賞に選出して頂き、誠にありがとうございます。本発明はお客様が要望された案件を当社の技術でなんとか具現化できないか、お客様の喜ぶお顔を想像しながら検討を重ねた末、成しえたものです。当社の企業理念に「新しい技術に携わることを誇りとし・・・」とありますが、このような機会に恵まれたことに感謝し、これからもお客様に喜ばれる「ものづくり」によって社会に貢献してまいりたいと思います。
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