【令和4年度北海道地方発明表彰】
特許庁長官賞
発明のポイントをお教えください
従来の海藻種苗生産は、水槽の底に配置した海藻種苗に対し、上部から蛍光灯の光を当て育てています。本発明では、スリムタイプの水槽内に海藻種苗を縦置き配置し、側面から光を当てることで省スペース化を実現しました。また、光源に発熱量が少なく光の指向性が高いLEDを用いることで、近距離照射と、海藻種苗1個体ずつに対してスポット照射を可能とし、無駄な光を削減しました。さらに、各海藻種の生長に最適な光波長を照射することで培養期間の短縮が可能になります。
苦労した点はどこでしょうか
省スペース化と無駄な光を削減するため、水槽とLED基盤は極近距離で使用しています。水槽内には海水が入っているため、当初から塩水害が懸念されLED基盤には防水加工を施していました。それでも、試作したシステムで海藻種苗を育ててみると、海水の飛散や蒸発による塩害で何度となく故障してしまい、基盤保護には苦労しました。最終的には、LED基盤をアクリル板で保護することで塩水害は解決することができました。
受賞のご感想をお願いします
2011年の東日本大震災で、東北沿岸のコンブ・ワカメの種苗生産施設のほとんどが津波で流されました。本発明は、震災復興に資する技術として2012年から開発に取り組んだ成果の一つでしたので、年の節目に、この度の栄誉ある賞を賜りましたことは大変感慨深く、光栄なことと感謝申し上げます。
現在、世界はカーボンニュートラルへ向けた取組みが進んでいます。そうした中、新たなCO2吸収源として海藻などの「ブルーカーボン」の役割に注目が集まっています。本発明や生産した種苗が、少しでも脱炭素社会実現の一助になれるよう、今後も発展・深化に向けた研究開発に邁進していく所存です。
現在、世界はカーボンニュートラルへ向けた取組みが進んでいます。そうした中、新たなCO2吸収源として海藻などの「ブルーカーボン」の役割に注目が集まっています。本発明や生産した種苗が、少しでも脱炭素社会実現の一助になれるよう、今後も発展・深化に向けた研究開発に邁進していく所存です。
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