【平成29年度関東地方発明表彰】
関東経済産業局長賞
意匠のポイントをお教えください
糖やアミノ酸に直線偏光を入射させると、その濃度に応じて振動面が回転します。この回転度合いは旋光度と呼ばれており、旋光計という計測器で測定を行います。旋光度の測定には通常、観測管と呼ばれるガラスの管が使用されますが、細い管に被測定物を入れ、蓋を閉め、測定台に置くという一連の工程は大変煩わしいです。本製品ではサンプルステージに被測定物を注ぐのみとし、またステージはふき取りやすい形状となっています。筐体は手のひらに乗るくらい小型で手軽に持ち運びができ、パネル面を斜めにするなど、スタイリッシュかつ使いやすさにこだわりました。
苦労した点はどこでしょうか
本製品には、筐体を小型化するために旋光度測定用のエンジンとして液晶セルを採用しています。この液晶セルの駆動には苦労しました。開発を始めた当初は液晶の動作スピードが非常に遅く、またなかなか測定精度も得られなかったため様々な手法を試行錯誤しました。旋光度と屈折率を同時に計測できるようにするために、内部に屈折率計を導入する点でも大変苦労しました。大きさがすでに決まっていたため、旋光計に影響を与えることなく屈折率計を組み込む必要があり、機能と形状を両立することに四苦八苦しました。
受賞のご感想をお願いします
今回このような素晴らしい賞を受賞でき大変光栄に思っております。旋光計は一般には馴染みのない測定機で認知度も低いものです。また大型のものしか世に出ていなく、価格も高価なため分析センターや研究所への導入が主となっています。小型化や屈折率計の融合によって用途の幅が広がり、より身近なものとなればという思いで開発を行いましたが、その思いが今回のこのような素晴らしい賞に繋がったと感じています。今回の受賞を励みに、今後も益々、未だ世にない製品の開発に挑戦していきたい所存です。
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