本発明により、従来の振り塩式の塩漬法では1〜2昼夜を要していた湯通しワカメやコンブの塩漬時間を、1200 Lの飽和食塩水中で20〜23 kgずつ網袋に詰めた500 kgの海藻を攪拌することで1時間に短縮します。独特の水流により驚きの性能を実現しました。海藻が吸収する食塩量を添加するため、塩漬後の海藻には食塩粒はほとんど付着せず、洗い作業は省略できます。特に、2昼夜を要していたコンブでは当日出荷と増産化を実現しました。

最適な攪拌装置の仕様（攪拌翼や邪魔板の形状、モーター容量など）や塩漬法を探るのに6年間かかりました。複数の生産者と実地試験を行い、問題点の把握と解決に努めました。本塩漬法の迅速な定着化を図るため、生産者への講習会、巡回指導、品質検査、マニュアル配付を行いました。本塩漬法では常に飽和濃度の維持が必要であり、ワカメとコンブの食塩吸収量の相違、コンブの形状や食塩の違いによる塩漬時間の相違など驚きと発見の連続でした。

この度、特許庁長官奨励賞を受賞しましたこと、大変光栄に思っております。本塩漬法および装置の評価は高く、販売から5年間で470台（東日本大震災以降300台）を受注しました。複数台を導入して増産化や規模拡大を図る事例も見られ、生産意欲の向上や後継者育成、震災復興にも貢献できました。ご支援・ご指導を頂きました石村工業株式会社、生産者、漁協、水産加工業者、漁業資材販売会社、食塩販売会社の皆様に心よりお礼を申し上げます。