公益社団法人発明協会

安定成長期

酵素入りコンパクト洗剤(アタック)

発明技術開発の概要

 アタックにおけるコンパクト化は、製造工程における乾燥工程と後処理工程の間に、造粒工程を導入することによって実現している。トナー製造でも用いられる攪拌転動力により粉体を破砕、圧密化して高嵩密度粒子に造粒するものである。さらに、これに溶解促進剤を混入させ圧縮によって低下する溶解度を補強し、また、ゼオライトを使用して造粒後の粘着性の防止を図っている。

 アルカリセルラーゼの開発は、従来の酵素が汚れに直接作用してこれを分解し除去するものであったのに対し、汚れを閉じ込めている繊維の非晶部ごと除去するところに従来とは決定的に異なる点がある。自然界に存在するセルラーゼの多くは中・酸性で洗浄作用は弱かった。そのため洗浄用アルカリセルラーゼを求めてスクリーニングを行い、発見した細菌Bacillus sp. KSM-635が工場生産に適するものとして採択された。それでも大量発酵生産のためには更に新たな方法の開発が必要であった。その際有効だったのは細胞壁合成等を阻害する抗生物質に対する耐性株の取得であり、野生種の数百倍の生産性を上げている。日本が生んだバイオテクノロジーの大きな成果の一つとしても優れた発明である。


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