公益社団法人発明協会

安定成長期

CD・CD -R

概要

 1982年10月、世界に先駆けて我が国で発売された音楽用コンパクトディスク(CD)及びそのプレーヤーは、それまでの音楽文化をアナログからデジタルの時代へ大きく変えた。更にその後開発された情報記録型のCD-ROM、追記型のCD-Rは、産業界だけでなく、オフィスや家庭におけるデジタル化を牽引するものとなった。

 CDは、光ディスクシステムにおいて世界をリードしていたオランダ・フィリップス社と、音声のデジタル信号処理システムで先行していたソニーにより共同開発された。最初に規格が制定された音楽用CDは、優れた音質でノイズが少なく、小形・軽量で持ち運びができるという特徴から、音楽愛好家だけでなく、世界的音楽家にも受け入れられ、発売から5年後にアナログレコード・カセットテープを凌駕し、20世紀末には新譜オーディオレコードの9割近くを占めるものとなった(図2 「メディア別オーディオレコード新譜発売数」参照)。ソニーとフィリップスは、それぞれCBSソニー、ポリグラムというレコード会社を傘下に持ち、それまでのレコードとは全く異なる材料を用い、IC工場並みのクリーンルームを必要とするCDソフトの製造へ積極的な投資を行い、その結果実現したのがハードウエアとソフトウエアのシナジーであった。

 ソニーとフィリップスが1985年に発行したコンピュータ用データのための記録方式(CD-ROM)は、コンピュータへの適用により大きな飛躍を迎えることになる。当初互換性の問題を抱えていたが、それまでの記録媒体の主役であったフロッピーディスクの400倍を超える容量を持ち、ソフトウエアの流通を大きく変えた。特に1988年にISO 9660(国際標準化機構が定めたCD-ROMファイルシステムの国際標準)が制定されるとともに、一気にその普及が始まった。日本メーカーはドライブ等の開発に積極的に取り組み、1995年には我が国の製品が世界市場の90%近くを占めるものとなった1。当時の限られたネットワーク環境の下でCD-ROMは音声・動画・写真等のデータの利用を可能とし、新しい規格はいわゆるマルチメディア時代の幕を開くものとなった。

 その後、太陽誘電が1988年に開発したCD-Rは、CDと完全互換性を持つ世界で初めての書き込み可能なコンパクトディスクで、金属反射層の前に設けた特別な色素の記録層に強いレーザー光を当てることにより記録するものである。CD-Rの利用は、当初放送局やクリエータ等の業務用に限られていたが、リーダー・ライターが普及し、価格が大きく下落するとともに、その利用は広く一般消費者にも拡大した。2003年の世界のCD-R販売数は100億枚、CD-Rドライブの出荷数は9000万台を超えた2

図1 世界最初のCDプレーヤーSONY CDP-101

図1 世界最初のCDプレーヤーSONY CDP-101

画像提供:ソニー

図2 メディア別オーディオレコード新譜発売数(国内)

図2 メディア別オーディオレコード新譜発売数(国内)

出典:社団法人日本レコード協会「日本のレコード産業2003」12頁より作成


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