公益社団法人発明協会

オンラインセキュリティシステム

概要

 近代的会社組織としての警備業が広く一般に認知されるに至ったのは、日本においては戦後しばらく経った昭和30年代後半以降である。

 1962年、日本警備保障(現 セコム、以下「セコム」と呼ぶ)が設立され、次いで1965年には綜合警備保障(以下「ALSOK」と呼ぶ)など会社形態による近代的な警備組織が相次いで設立された。しかし、「水と安全はタダ」といわれるほど治安に恵まれた日本では、発足当初は市場も小さく、セコムが初年度に獲得した顧客はわずか1件であった。

 警備業が注目されるようになったのは、1964年の東京オリンピックや1970年の大阪万博での警備を委ねられたことなどによるが、一方で警備員による不祥事なども多発し、社会的な評価はなおしばらくの間厳しいものがあった。

 1966年、セコムは警備員の人的能力に依存する業務形態を根本から見直し、センサーを取り付けた警備対象施設と警備センターとをオンラインでつなぎ、異常が発生すれば警備担当者が駆けつけるオンラインセキュリティシステムを開発した。そして、翌年にはALSOKも同様のサービスを開始した。これによって個々の警備員の人的能力に依存するのではなく機械化による警護サービスの質の均一化を確保するとともに、オンラインデータを積み重ねることにより更なるサービス向上への展開を図るビジネスモデルを確立した。

 日本のオンラインセキュリティシステムは、外国のそれ(機器の売り切り)と異なり、対象事業主に対しレンタル方式を採っている特徴がある。また、機器の開発から、工事、メンテナンス、さらに駆けつけ警備までトータルパッケージとして販売している。このビジネスモデルは、1975年には更に大きく発展し、世界的にも初となる中央センターにコンピューターを導入し、モニターへの異常を発見すると自動的にランプが点滅し、状況を把握して必要な措置が取られるシステムへと発展した。

 警備業に対する社会の認識は次第に変化し、コンピューターセキュリティシステム導入後は契約件数も急拡大することとなった。2002年、警察白書(平成14年版)は警備業を「犯罪に強い社会を構築するうえで不可欠の存在」と記述するまでになった。

 2015年現在、その売り上げは業界全体で3兆円を超え、海外にもアジアを中心に広くそのシステムは展開されている。

 


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