公益社団法人発明協会

戦後復興期

ファスナー

概要

 YKKのファスナーは、先駆的な投資行動と垂直統合を通じた生産プロセスの最適化によるイノベーションである。

 ファスナーは、ジーンズ、スカート、ハンドバッグ、ワンピースなどの衣料品をはじめ、カバンや靴、漁網や防虫ネットなど様々な分野や場面で用いられている。煩雑なボタンや紐を代替することで、結ぶことや包むことに係る時間を短縮し、より確実な包装や自由度の高いファッションを実現する上で、今日ファスナーは人々の生活にとって無くてはならない製品である。

 ファスナーは布テープと務歯(むし[エレメント])、スライダーから構成される。布テープの一端にある芯紐を土台とし、この土台に金属の務歯を植え付ける。務歯の頭部はスナップのように片面が凸型、その裏側が凹型となっている。この凸凹が左右から噛み合わさりファスナーを構成する。これらの務歯を彎曲させて横方向から押し込み、ファスナーを開け閉めする役割を果たすのがスライダーである。

 YKKによるファスナーの販売及び生産プロセスには、次の特色がある。すなわち、①ファスナー自体は米国の発明家による着想であり、決して自社固有の研究開発から生まれたものではなかったこと、しかし、②大量生産製造機器を技術導入するのみならず、原料の調達から生産までを一元的に一つの企業内で担う一貫生産思想により、生産コストの低減とスループットの最適化を達成したこと、これにより③高品質かつ低価格のファスナー生産を実現することができ、④新製品の研究開発へと再投資を行いグローバル規模に事業を拡大できたことである。

 現在YKKは、ファスナー業界におけるリーディングカンパニーとして、国内、そして世界で幅広い事業活動を行っている。

画像提供:YKK


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