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カラオケ

概要

 カラオケは、事前に録音された伴奏を再生し、その演奏に合わせて合唱・合奏するレクリエーションである。全国カラオケ事業者協会によれば、カラオケ参加人口は2012年現在4680万人と推計されており、日本人にとって、主要な娯楽の一つとなっている(図1)。このようなカラオケ産業は、1960年代から多数の人々の発明や創意工夫によって成長してきた。

図1 カラオケ人口の推移

図1 カラオケ人口の推移

※カラオケ参加人口は1995~1999年:「レジャー白書2000」(財)自由時間デザイン協会、2000~2012年:全国カラオケ事業者協会推計。
出典 全国カラオケ事業者協会「カラオケ白書2013」から作成

 カラオケに関連する市場は多岐にわたる。全国カラオケ事業者協会は市場セグメントを①スナックや居酒屋等のナイト市場(市場規模約1823億円)、②カラオケボックスや喫茶店等のデイ市場(市場規模約3912億円)、③その他宴会場や健康ランド、ホテル、観光バス等(市場規模約411億円)、に区分している(市場規模はいずれも2012年度の推計値)1。市場規模はカラオケ機器などの機材のみで約675億円、カラオケ利用料等の最終ユーザー段階では約6146億円と一大レジャー産業になっている2

 カラオケ産業が社会に与えた影響も多岐にわたるが、音楽文化への貢献としては大きく次の2点が挙げられる。第一に、国民の歌唱レベルの底上げにつながったことである。日本では元々義務教育において音楽が必修科目であり、その中でも声楽教育が占める割合が大きいという制度状況があった3。また、戦後すぐの段階から、ラジオでのど自慢大会番組が人気を博すなど娯楽としての歌唱文化が成長する下地もあった4。このような素地にカラオケが加わることで、老若男女問わず国民が日常的に歌を歌う機会が増え、歌唱・声楽は国民的文化となったといわれている。第二に、ポピュラー音楽の市場にも大きな影響を与えた。1990年代にはカラオケで歌われる楽曲と音楽の販売ランキングの相関が高まったと烏賀陽弘道は『Jポップとは何か-巨大化する音楽産業-』で指摘している5。多くのミリオンセラーが誕生し、それらの曲がカラオケで歌われることとなった。

 日本で始まった“KARAOKE”は世界共通語となり、世界各地に進出している。国によって定着の仕方は異なるものの、中国や韓国、台湾といった近隣諸国・地域ではJ-POP等、日本の歌への親しみがあることから、日本に似たシステムのカラオケ文化が定着している6。米国のサンフランシスコやハワイ、中南米7その他、英国やロシア等でも個人用のカラオケ機器が人気商品となっている。


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