公益社団法人発明協会

発光ダイオード

概要

 発光ダイオード(LED)、特に青色LEDとそれに関連するイノベーションの多くは、日本人研究者や日本企業によって生み出された。赤色や黄緑色のLEDは、西澤潤一(東北大学)らの開発により実用化されていたものの、青色のLEDはなかなか実用化に至らなかった。多くの大企業が研究を断念する中、赤﨑勇(名古屋大学)らの研究グループや松岡隆志(NTT)、中村修二(日亜化学)らの研究活動により実用化に至った。

 青色LEDとそれに伴う白色LEDの登場によって、多岐にわたる光源は次々とLEDに置き換わっている。液晶ディスプレイのバックライトや、スキャナーの光源など、部品として各種電子機器に組み込まれているだけでなく、街路灯、屋内照明などの各種照明もLEDに置き換えられつつある。白色LEDの寿命は4万時間以上と蛍光灯の約4倍の長さであるため、照明として採用することで交換の手間が大幅に省くことができる。また、消費電力も蛍光灯と比べて10%から40%程度小さく、二酸化炭素排出の削減にも貢献している。自動車のヘッドランプやコーナリングランプなど、車載用LEDの市場も成長している。このほか、青色LEDの登場によって赤・緑・青の3色のLEDを一つにまとめたモジュールを作成することが可能になった。このモジュールは、3色の発光バランスの組合せによってフルカラーの発光が可能であり、このようなフルカラーLEDは電車の行き先表示板や駅の案内板等に利用されている。2010年現在、LEDパッケージの全世界の出荷個数は1060億個、金額ベースで120億米ドルとなっており、市場規模は今後も照明用途を中心に、安定的に拡大すると見込まれている1

 このほか、LEDの光をレーザー発振するように加工したレーザーダイオードは、光ディスクのピックアップとして活用され、特に青色レーザーダイオードのように従来よりも短い波長のレーザー光が実用化されることで、大容量の光ディスクが利用可能となっている。このほか、レーザーダイオードは、レーザープリンタやマウス、レーザーポインタなどにも利用されている。


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