特許庁長官賞
電気自動車の高性能化に貢献する電磁鋼板(特許第6519725号)
【神奈川県発明協会】
財前 善彰 |
JFEスチール株式会社 スチール研究所 電磁鋼板研究部 主任研究員 |
尾田 善彦 |
JFEスチール株式会社 スチール研究所 主席研究員 |
平谷 多津彦 |
JFEスチール株式会社 スチール研究所 サステナブルマテリアル研究部 主任研究員 |
実 施 功 績 賞
北野 嘉久 |
JFEスチール株式会社 代表取締役社長 |
本発明は、板厚方向の珪素(Si)濃度勾配制御と粒界偏析元素活用による結晶方位制御の組み合わせにより、電気自動車のモータ材料として求められる高磁束密度と低鉄損を高い次元で両立した電磁鋼板に関するものである。
本発明では、鉄損を効果的に低減するため、鋼板表層の高Si濃度化を着想し、CVDを用いた連続浸珪法によって、Siを鋼板表面から内部に拡散浸透(浸珪)させ、Si分布を付与している(図1上段)。この際、Si量と格子定数差に着目し、Si添加にともなう格子定数の変化が緩やかな領域でSi分布を付与するとともに(図1下段)、粒界偏析元素を活用した浸珪処理後の結晶方位制御を組み合わせることで、高磁束密度と低鉄損を高い次元で両立した電磁鋼板の製品化に成功した(図2)。
本発明鋼は、磁束密度が高く、かつ鉄損が低いことからモータの小型・高出力・省エネルギー化を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に大きく貢献できる。
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