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令和5年度関東地方発明表彰

日本弁理士会会長賞

CNF添加による徐放性バラ香料(特許第7173476号)

【静岡県発明協会】

石橋 佳奈

静岡県工業技術研究所 食品科 主任研究員

前田 研司

静岡県工業技術研究所 工芸科 主任研究員

櫻川 智史

静岡県工業技術研究所 所長

山下 里恵

元 静岡県工業技術研究所 食品科 科長

藤井 好己

一般社団法人静岡バラ振興会 理事

志田 正人

一般社団法人静岡バラ振興会 理事

高田 勝己

一般社団法人静岡バラ振興会 代表理事


 本発明は、簡便な製法で、香り成分をセルロースナノファイバー(以下、CNF)の三次元ネットワーク中に分散し、CNFで包摂(覆い絡み)担持することで、香り成分を長持ちできる香料(化粧料)に関するものである。
 CNFは、数〜数百nm幅の極細の長繊維であることから、0.01%〜1%の極少量の添加で、空間充填率の高い緻密な三次元ネットワークを形成できる。また、繊維表面には、多くの「水となじむ」親水基と、一部の「香料となじむ」疎水面が存在するため、水系の化粧品基材(天然油脂由来のグリセリンや水添ひまし油を含む。)中で、ミセルを形成(水の中に微粒子として分散)している香料成分をCNFが覆い絡むように担持する現象も新たに発見した。これらによって、香り成分の揮散を抑制し、香りを効果的に長持ちさせることが可能になった。
 本発明による化粧品には、規格外で売り物にならない花弁から抽出した花の香りや、さまざまな植物繊維から作ることのできるCNFを使用し、基材には天然油脂由来の素材を用いている。静岡県は、全国でも有数の花卉産地であり、紙・パルプ産業が盛んな富士地域での地域貢献性も高い。



図1 香料組成物の概念図(拡大図)

図1 香料組成物の概念図(拡大図)

図2 香り成分の徐放挙動

図2 香り成分の徐放挙動

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