関東経済産業局長賞
透過性素材を用いた醸造装置(特許第6523366号)
【栃木県発明協会】
西堀 和男 |
西堀酒造株式会社 代表取締役 |
本発明は、日本酒の発酵工程において、容体内の発酵状態や攪拌状態を側面からも目視によって観測可能とすることにより、自然な対流を優先した従来と異なる発酵管理法を可能とするための、透過性素材を用いた醸造装置(透明タンク)である。
従来、日本酒の「醪(もろみ)」工程では、分析値のほかに上面の泡の状態(状貌)が発酵過程の判断指標であった。熟練の杜氏や職人の発酵タンクの櫂入れ(撹拌)などは、経験則で判断していた部分が大きかった。そこで、暗黙知領域を可視化し、櫂入れの最適化や、より精緻な情報蓄積による酒質向上を目的として、側面から醪の発酵状態を確認できる透明なアクリル製タンクの開発・導入を行った。
本発明により、醪の自然な対流や気泡の状態に応じて発酵管理を最適化することができ、櫂入れ作業の経験則から脱却することに成功した。側面の目視観測による櫂入れ調整により、雑味の増加と酸度の上昇を低減し、ムラの無い丁寧な温度管理も可能となった。
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