中小企業庁長官賞
分子勾配膜粘接着フィルム(特許第4608422号)
【埼玉県発明協会】
濱野 尚吉 |
共同技研化学株式会社 代表取締役社長 |
本発明は切断性に優れ、糊バリを発生させることなく打抜き加工や穴あけ加工等のせん断加工を良好に行うことができる、物体同士の接合用粘接着フィルムに関するものである。
本発明の粘接着フィルムは、縦、横、厚みのどの方向に対しても物質の物理的性質が均等であり、中心である基材層が表面層の1.5〜200倍のせん断力を有する。基材層の厚みは5〜60μmで表面層の厚みは0.1〜50μmである。
当該基材層及び表面層の境界面のポリマー間に、分離せずに混ざり合う領域(相溶域、勾配)を持たせたことで、粘接着力の発現、優れた応力緩和性、見切り性(バリ無し)の課題を解決できた。
本発明により、ICタグ、AIカメラ、情報端末機器等の実装部品の断裁において4000ショット毎の糊バリ掃除による中断が無くなり、検査工程も簡便化でき、1mm径の穴あけをも可能とした。当該フィルムは粘接着機能を有しながら1mm程度の通気孔を有することで、音声透過、放熱等の機能が得られるほか、通気孔に水滴が触れても表面張力が働いて反対側への通過を防ぐため、日常防水効果も備えている。また、フィルムを断裁した際に直線を維持することから、カメラ内部や表示体の隙間に挿入し、スペーサーとして使用することで遮光、偏光機能も得ることができる。
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