特許庁長官賞
高延性厚鋼板による船舶の衝突安全性向上(特許第5893231号)
[大分県発明協会]
市川 和利 |
日本製鉄株式会社 鉄鋼研究所 厚板・形鋼・鋼管研究部 主幹研究員 |
稲見 彰則 |
元 新日鐵住金株式会社(現 日本製鉄株式会社) 主幹 |
白幡 浩幸 |
日本製鉄株式会社 鉄鋼研究所 厚板・形鋼・鋼管研究部 主幹研究員 |
山田 安平 |
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海難事故解析センター センター長 |
戸澤 秀 |
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所 特別研究員 |
檜垣 幸人 |
今治造船株式會社 代表取締役社長 |
実 施 功 績 賞
橋本 英二 |
日本製鉄株式会社 代表取締役社長 |
栗山 善昭 |
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 理事長 |
本発明は、国際統一規格で規定された値の1.4倍以上の全伸びを有する高延性鋼板を使用した船殻構造により、超大型原油タンカーの衝突時の破口発生を抑制し、甚大な環境被害をもたらす油漏洩リスクを低減するものである。
発明者らは、船体の構造設計変更ではなく、衝突・座礁による船舶の損傷を軽減する材料技術を経済合理性に従って検討し(図1)、適正に配置された、延性(伸び)に優れた鋼板で衝突エネルギーを吸収し、耐衝突性能の高い船体構造を発明した。現実の事故統計を踏まえた非線形有限要素法計算により(図2)、破口発生防止のための伸び値(臨界的意義)が従来規則の1.4倍以上必要であると算出し、船舶の衝突安全性の大幅な向上を実現した。
本発明は、国際競争の渦中にある日本の造船産業の競争力強化に貢献し、今後の予定も含め、現在までに31隻の船舶に採用されている。これにより、衝突に伴う人命や積荷の損失を防ぐことができるとともに、先進船舶として税制優遇対象となっている。
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