発明協会会長賞

次世代高密度実装用はんだ粒子の新製法（特許第3744519号）

［宮崎県発明協会］

清水　正高	宮崎県工業技術センター　材料開発部　専門主幹
赤﨑　いずみ	宮崎県工業技術センター　資源環境部　副部長
鳥越　清	元　宮崎県工業技術センター　副所長
中島　忠夫	元　宮崎県工業技術センター　所長

　本発明は、半導体や電子デバイスの小型化・高性能化に必須な微細球状はんだ接合粒子に関するものである。異分野技術の膜乳化法を金属であるはんだ粒子の製造に転用することで、従来技術の行き詰まりを打破し、均一サイズのはんだ球状粒子を一挙に製造する新技術の開発に成功した。
　本発明は、溶融はんだと分散媒油剤が高温状態でも乳化する現象を発見したこと、そして多孔質ガラス膜を介した膜乳化によって高品位はんだ粒子を製造することを技術的特徴とする。
　これにより鉛フリーやレアメタルなど金属種が異なる球状はんだ粒子を同一条件で生成でき、さらに3μm～70μmの範囲でサイズコントロールできるため、次世代高密度実装用の10μm以下ソルダーペースト印刷用はんだ粒子や、粒子1個を点接合に使用するマイクロはんだボールなどの新商品を産み出すに至った。
　本発明の実施のために、はんだ粒子製造会社と工場が2006年に設立された。当該企業が宮崎県からの実施許諾に基づいて次世代高密度実装用はんだ粒子を生産し、本発明の実用化を担っている。また、海外展開にも積極的に取り組んでおり、特許は国内取得済み（本受賞案件）の他、海外7カ国に出願している。販売先は米国、台湾、韓国など世界の主力半導体企業であり、日本の素材競争力確保に寄与している。

当該発明はんだ粒子の電子顕微鏡写真例

はんだ粒子の製造方法概念図