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令和2年度中国地方発明表彰

日本弁理士会会長賞

生分解可能なセルロースアセテート粒子と化粧品(特許第6609726号)

【広島県発明協会】

小林 慧子

株式会社ダイセル ヘルスケアSBU 事業推進室
研究開発グループ 研究員

大村 雅也

株式会社ダイセル ヘルスケアSBU 事業推進室
研究開発グループ 主席研究員

実 施 功 績 賞

小河 義美

株式会社ダイセル 代表取締役社長


 本発明は、生分解性のマイクロビーズ及びその製造方法に関するものである。従来のメイク用品に含まれる微粒子は合成樹脂から成るものであり、代替物は存在しなかった。これは、他の材料では“のび”が得られないことに起因するものであったが、本発明はこれを改善したことを特徴とする。
 従来のメイク用品の粒子は“のび”のため形状が真球状、かつ粒径分布が均一なエマルション重合法で製造された合成樹脂の微粒子であった。天然由来の成分は破砕法などにより微粒子化されるため、不定形となり“のび”が得られない。一方、セルロースアセテートはコットンリンターや木材より得られる半合成樹脂であり、持続可能性と生分解性を併せ持っているが、不定形粒子しか得られないことが課題であった。本発明では、セルロースアセテートと可塑化成分を混合した上、さらにPVAを溶融混錬することにより、粒度が均一な真球状の微粒子を得ることに成功した。
 図1は本発明の微粒子を化粧品に配合した場合の“のび”を試験したものである。従来の主流であったナイロン系の微粒子と比較しても本発明品は“のび”のある化粧品組成物を得ることができる。これは、少量でも延びの良い(=厚化粧にならない)「薄付き」のファンデーションとすることができることを意味し、商品の訴求力を増す。
 図2はベルギーにある独立した試験所(OWS Organic Waste System)にて測定した海洋での生分解性のデータである。250日で生分解率が80%以上というセルロースにほぼ匹敵するデータが得られている。

図1:本発明微粒子の化粧品としての特性

図1:本発明微粒子の化粧品としての特性

図2:本発明微粒子の生分解性

図2:本発明微粒子の生分解性

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