特許庁長官賞
高精細なエッチング加工が可能なFe−Ni系合金薄板(特許第5294072号)
【島根県発明協会】
岡本 拓也 |
日立金属株式会社 安来工場 帯鋼工場 技師 |
飯田 恭之 |
日立金属株式会社 安来工場 帯鋼工場 主任技師 |
実 施 功 績 賞
平木 明敏 |
日立金属株式会社 代表執行役 執行役社長 |
本発明は、テレビやスマートフォンに用いられる高精細な有機ELディスプレイの製造に用いられるメタルマスクの素材として好適なFe-Ni系合金薄板に関する技術である。
メタルマスクは、有機塗料を所定の位置に蒸着させるための遮蔽板の役割を果たす。このメタルマスクの素材には、厚さが0.02〜0.15mmという薄さの上、蒸着時の高温下でも熱膨張変形しないこと、高精細なパターン形成が可能なことが求められる。
本発明によれば、Ni量を適正化したことにより、熱膨張変形を抑制するとともに、冷間での圧延加工時の条件を見直して、高精細なパターン形成が可能な、厚さ0.02〜0.15mmのFe-Ni系合金薄板を得ることができる。具体的には、ロール表面に円周方向の研磨痕を形成し、円周方向と直角方向の粗さを調整したロールを用いて最終冷間圧延することにより、オイルピットの発生を抑制し、更に、最終圧延時の圧延速度を調整し、残留応力を低減した。
図1に本発明のエッチング加工用素材、図2に従来例の表面顕微鏡写真を示す。本発明のFe-Ni系合金薄板は黒色のオイルピットが飛躍的に減少していることがわかる。
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