文部科学大臣賞
電機機器小型高効率化に寄与する電磁鋼板(特許第5644680号)
【岡山県発明協会】
平谷 多津彦 |
JFEスチール株式会社 スチール研究所 電磁鋼板研究部 主任研究員 |
村木 峰男 |
JFEスチール株式会社 スチール研究所 鉄粉・磁性材料研究部 グループリーダー |
尾田 善彦 |
JFEスチール株式会社 スチール研究所 電磁鋼板研究部 グループリーダー |
実 施 功 績 賞
柿木 厚司 |
JFEスチール株式会社 代表取締役社長 |
本発明は、板厚方向のSi濃度分布の制御により、従来鋼に比べ少ないSi添加量で高周波鉄損低減を実現した省資源型電磁鋼板に関するものである。
電磁鋼板はモータやリアクトル等の鉄心材料として用いられているが、電機機器における動作周波数の高周波化に伴い、高周波域での鉄損低減が求められている。高周波での鉄損を低減するためには、固有抵抗増加元素であるSi添加が有効であるが、同時に磁束密度の低下、加工性の劣化等を招く。そこで、高周波域で渦電流が集中する表層のみSi濃度を高めることを着想した。
本発明鋼では、表層のSiを高めるため、化学気相蒸着法(CVD法)により鋼板表面からSiを鋼板中に拡散させている。その際、浸珪処理前の母材成分を適正化して、中心は拡散速度の低いオーステナイト相(γ相)のまま、表層のみを拡散速度の高いフェライト相(α相)の状態として表面からSiを十分に拡散させることにより、鋼板の表層部に優先してSiを濃化させることに成功した。
本発明鋼は、内層のSi量が低いことから、磁束密度が向上するとともに、打ち抜き等の加工性にも優れている。また、高周波域での鉄損低減のために必要な部分(表層)のみSi量を高めていることから、鋼板全体でのSi使用量を大きく低減することができ、省資源化にも貢献できる。
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