特許庁長官奨励賞

マルエージング鋼の製造方法（特許第4692282号）

【島根県発明協会】

原　顕一郎	日立金属株式会社　メトグラス安来工場　主任技師
高尾　秀実	日立金属株式会社　安来工場　製鋼部　主任技師
三嶋　節夫	日立金属株式会社　安来工場　製鋼部　主管技師
藤田　悦夫	日本エアロフォージ株式会社　技術部　課長

実施功績賞

髙橋　秀明

日立金属株式会社　代表執行役　執行役社長

　本発明は、Ｆｅを基本成分とする鋼塊の製造方法に関するものである。本発明を適用して得られるマルエージング鋼は、疲労強度を低下させる主たる原因となっていたＴｉＮ介在物を飛躍的に微細とすることができる。
　本発明では、介在物生成元素のＭｇを敢えて添加して溶鋼中に微細分散するＭｇＯを形成させ、そのＭｇＯを核とする微細なＴｉＮを形成させた消耗電極を製造する。その消耗電極を用いて再溶解すると、再溶解中に微細なＴｉＮは溶解し、核のＭｇＯはＭｇと酸素にガス解離して除去される。これにより、従来では再溶解時に溶けきらないＴｉＮが再溶解の凝固時に粗大化していたことを抑制し、１０μｍを大幅に下回る微細なＴｉＮとすることができる。
　本発明により、従来問題となっていた介在物起因による材料の破断の問題も大幅に低減した。本発明を適用して得られたマルエージング鋼は自動車の無段変速機（ＣＶＴ）に用いられ、ＣＯ_２削減や燃費向上に寄与している。

開発した溶解条件で製造したTiN

従来の溶解条件で製造したTiN

特許庁長官奨励賞

マルエージング鋼の製造方法（特許第4692282号）

【島根県発明協会】

実 施 功 績 賞

実施功績賞