日本弁理士会会長奨励賞
曲げ加工で生じる金属組織配管余寿命評価法(特許第5355832号)
【広島県発明協会】
西田 秀高 |
中国電力株式会社 エネルギア総合研究所 発電・材料担当マネージャー |
実 施 功 績 賞
苅田 知英 |
中国電力株式会社 取締役社長 |
本発明は、火力発電所のボイラ配管がベイナイト組織(配管の製造過程において熱処理後の冷却時に生じる針状の金属組織)を有していた場合でも余寿命診断を可能にするため、硬さを指標とした診断手法を新たに開発したものである。
従来ベイナイト組織は、損傷メカニズムが明らかではないため、通常の組織からなる配管の余寿命診断技術を適用できず、余寿命を診断できない状況であった。
本発明では、試験体を用いた破壊試験を行うことにより、ベイナイト組織が破断に至るまでの損傷メカニズムを解明した。また、これに基づき配管の硬さを指標として金属組織のクリープ損傷率と劣化状況の相関を示す「検量線(マスターカーブ)」を作成し、高精度な余寿命評価を可能とした。
これにより現状のクリープ損傷率を把握することができ、発電設備の信頼性向上が図れると共に、計画的な設備保全が可能となった。また、本発明を用いて余寿命診断を行った発電所では、定期検査の延長申請が承認され、それに伴う停止損失および修繕費が大幅に減少した。
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